藤田わへい 京都水彩画通信のブログ

京都在住の水彩画愛好家藤田わへいのブログです。水彩画や日常生活を発信しています。

京都五条楽園の梅湯

京都市内の夏場のスケッチ散策では、帰りに五条楽園の梅湯によく立ち寄る。
五条楽園は昔の遊郭跡で、かつてはアンダーグラウンドな街。絵のモチーフだらけ。

水風呂にかかる桟橋の下にもぐってクールダウン。我が青春の銭湯だ。
その梅湯が今年になって廃業。何とその後を湊 三次郎さんという青年が単身で引き継ぐと言う。

彼は京都外大の銭湯サークルの初代会長。中古の軽自動車が買えるだけの資金を投入し単身で借り上げ、他府県で廃業する銭湯の道具をもらいながら手弁当で復興するというニュースをツイッターで知って、いてもたってもいられず、ボランティアの助っ人として名乗り出た。

絵描きのぼくに絶対必要なもの…。筆と紙と銭湯。その銭湯が困っていたら駆けつけるのはせめてもの街への恩返し。街で絵を描き、街に育てられたぼくなりの決意。

人手が足りない旨を友人のT君に話すと、彼も快諾してくれて、二人でバイクに乗って駆けつけた。
梅湯はもはや廃墟状態。畳の下や押し入れからは明治時代のカビの生えた新聞紙がゴロゴロ出て来る状態。ボイラー室や脱衣場はゴミとほこりの山。ここまで二週間。彼の決意と努力は一目で分かった。

ほこりにまみれながらも心地よい疲れがぼくを襲う。大上段に構えているのでは無く、ちっぽけな力ながらも彼に、そして街にささやかな恩返しが出来る事に喜びを感じた。

復興オープンまであとしばらくはかかるだろう。
ぼくはそれまでにぼくなりに出来る事を考え、力になりたい。
初対面の彼とのこれからの友好。街への恩返し。

そして京都で絵を描き、また梅湯に入れますようにと…。

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